類さま「相互御礼」




ヒナタ様は、可愛い。
それは間違いなく、とんでもなく、可愛い。


『壊れた男と可愛い子』



「出来た…。」

ヒナタ様に頂いたバレンタインチョコのお返し…。
ようやく完成したそれをまじまじと眺め、思ったより出来が良く、見栄えが
することに満足して、俺はそれをテーブルに置いた。
それから、ふと隣りに目をやると、其処には未だ封を切られてない小箱が
ある。ヒナタ様に頂いた、バレンタインチョコだ。
お世話になっているから、と付け加えて渡されたそれは…
俗に言う、義理チョコなのだが。
過去、あれだけの事をしたこの俺に…普通なら何も寄越さない筈なのに。
それが、はにかむような笑顔で上目遣いに、ヒナタ様は俺へとチョコを
手渡したのだから、相当驚いた。
優しい彼女だから、とも取れるが、それにしたって、すごいだろう。
自分を殺そうとした男に、あの笑顔でチョコは…。
ゆえに、この俺へのチョコは、限りなく本命に近いチョコの筈だ。
同じ義理とはいえ、キバやシノとは明らかに格が違う。
奴等は普段から仲間だから、渡したのだろうが。
俺は仲間ではない。従兄というには仲が悪過ぎたし、今だってそんなに
親しくない。それに従兄としてなら、他の親戚にも配るだろうが、そういった
形跡はなかった。つまり、俺は特別なのだ…。
しつこいようだが、過去にあれだけの事をした男に、義理でもそんなチョコ
などを…寄越す女がいるだろうか?
有得ない。ヒナタ様が如何に優しくても、そんなの考えられない。
義理以上の強い何かを俺に抱いてなければ、そういった行動は思いつか
ないだろうし、実行もできないだろう。
…そう、だから、これはもう絶対に。
確実に俺が本命!と、告げているのだ。(ナルトはフェイクに違いない。)
そう、俺は解釈した。いや、そうとしかとれない。
だから、誰からもバレンタインチョコを受け取らない、この俺が、
ヒナタ様のチョコだけは受け取って、そうして今、お返しの品などを
製作してるというのだから、恐れ入る。
このクールな天才、日向ネジに、ここまでさせるとは…
ヒナタ様は忍びとしては平々凡々だが、女としては…
木の葉最強の天才かもしれぬ。
それにしても…俺は目の前の小瓶をみて、ほくそえんだ。

「…ホワイトデーか、誰が考えたのか知らないが…ふっ…
 味な真似をする…この天才にこんな事させるなど…ふふっ、くくっ」

翌日、俺は込み上がる笑いをどうにか抑えて、演習場に向かった。

「いた…。」

そこにはヒナタ様が一人で汗を流している。努力家な彼女は毎日のように
この演習場で修行していた。宗家ではヒアシ様とハナビ様が修行しているの
で居辛いのだろう。たまに俺が組み手の相手をしてやるが、それさえも遠慮
している様子だった。全く、日向の空気にはそぐわない気質。
…だが、俺には其処がたまらない。

「ヒナタ様。」

さも偶然を装って俺は彼女へと声をかけた。
ヒナタ様は俺の気配に全く気付いてなかったのか、酷く驚いている。
だがすぐに、あの愛らしい笑みを浮かべると、ネジ兄さん、と俺の名を呼んだ。

「あ…あの、今日は…宗家では、なかったんですか?」
「ああ、休養日だ。それより、あなたは休まないのか?」
「え?」
「…根を詰めすぎだ、見ろ、手の平…。チャクラ放出のしすぎで
 チャクラ穴が傷んでいる。今日はもう終いにした方がいい…」
「あ…////」

修行に没頭しすぎて気付かなかった己を恥じるように、彼女の頬が赤くなる。
可愛い…。
俺は疼く感情を押し殺して、彼女を丸太の上に座るよう誘った。
彼女は素直に頷き、少し間を置くものの、俺の隣りに座ってくれる。
随分と心を許してくれるようになった。まあ、本命も同然だからな、
至極当然だろう。

「ヒナタ様、そういえば、この間のお返しを渡そうと思っていたんだ。」
「え…?…あっ…そんな、宜しかったのに…っ」

遠慮する彼女を宥めて、俺は彼女の手にお返しの品を押し込んだ。
ヒナタ様は困惑していたが、照れ隠しのパフォーマンスに過ぎん。

「あ、あのっ…そんな…お返しなんて…かえって悪いです…っ」
「そんな大層なものじゃない、気にするな。」
「そ…そうなんですか?…じゃ、じゃあ…お言葉に甘えて…」
「ああ、甘えて…ついでに、今すぐぺろっと舐めてしまえ。」
「え?」
「あ、いや、その…疲れたときには、甘いものがいいのだろう?」
「はい…」
「それは、飴だ。必ずやヒナタ様のチャクラ回復に役立つ。」
「そ、そうなんですか?わあ…嬉しい、ありがとう、ネジ兄さん。」

そういって、甘いものに目が無いヒナタ様は…ヒナタ様は…

「ん、甘くて、美味しいv」
 
(くっ…!!)

俺は目から火花が飛び散るような衝撃に襲われていた。
な、舐めちまいがやった…何のためらいもなく、ぺろりと…。
やはりヒナタ様は忍びには向いていない、騙され易過ぎだ!!

「ん…?中に…練乳?イチゴみるくですね?実は好物なんですv」
「ふ、それは良かった。…苦くはないか?」
「???、い、いいえ?」
「そうか…。」
(試食は流石に共食いになるので、しなかったのだが…
 砂糖をたんまりと入れたのが功を奏したか…)
「え?今、なにか言いました?」
「いっ、いや、何でもない!それよりヒナタ様、あなたにひとつ
 忠告したいことがある。」
「なんですか?」
「その飴だが、絶対ヒナタ様だけしか食べてはならん。いいか?
 他人には決して与えないでくれ。俺の気持ちがこもったもの
 だからな…。よろしいか?」
「は、はい…っ」

凄みを利かせすぎたか、彼女の眼がうるると潤んだ。
ここまで脅しておけば、大丈夫だろう。

「…捨ててもいけないぞ?それには俺の…」
「?」
「命が込められているのだからな!!」
「いっ、いのち?!!」
「そうだ。それには俺がヒナタ様だけに効く様に、もとい、
 ヒナタ様の体質に合わせて調合した漢方薬が含まれている。
 その調合比率は、俺だけが知るもの、秘伝なのだ。まさしく命。」
「まあ…そこまでのものを…私なんかの為に…」

じぃいん、と感激し、今度は嬉し涙を流すヒナタ様。
ふ、ちょろいもんだ。
こうも易々と俺のたくらみにはまるとはな…。
当分はこれだけで、オカズになるだろう。


そうして俺は更なる約束を取り付けることに成功していた。
それは…。

俺と二人きりのときは、その飴を、ヒナタ様が俺の目の前で
舐めるというものである。

「ネジ兄さんが下さった飴のおかげで、最近体調もいいんですよ///」
「そうか、よかったな。」

無邪気なヒナタ様は、今日も俺の目の前で、あの飴を舐めている。
たくさん作っておいたのに、一ヶ月もたてば残り少なくなっていた。

「ヒナタ様、また作ってあげようか?」

嬉しそうに顔を輝かせる無邪気なヒナタ様に、俺は満足して笑う。
いつかは直に、原液のままヒナタ様に舐めていただきたいものだ。
俺の…○○○○



…男の欲を満たす以外に、効果は疑わしいが惚れ薬効果も期待して
俺は、せっせと飴を作り、ヒナタ様に食べさせ続けるのだった。




*可愛い子には飴を食べさせろ?*










☆『ネジ@ヒナ』の類さまに、相互の御礼として捧げますv
  リクエストは、「ヒナタの事が好きで好きで、好きすぎて仕方がなくて壊れ気味のネジと、
  可愛らしいヒナタ様』、というものだったんですが。
  壊れ気味ではなく、ぶっ壊れてますねっ////すんません (/o\)
  しかも…そうとう下品な…愛は込めたんですが、ええ、極上の…
  (空也さんの極上は、必ずエロい展開になりますのです…愛されると大変ですねv)←やだ。

  いつも優しいお気遣いと、めちゃくちゃ楽しいお話しで癒してくれる類さまには
  とびきり感謝しておりますvvこれからも、どうかよろしくお付き合い下さいませvv




                         (2007/2/23捧げ)















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